せっかく見たのだからなにがどう面白かったのか。面白くなかったのかくらいは感想を書いておこう。

今日見たのは「パラサイト・半地下の家族

鑑賞記

あらすじを簡単に紹介すると次の通り。 フリーターとして暮らす青年ギウは妹のギジョン、母チュンスク 、父ギテクと4人で場末の半地下の安アパートに住んでいた。 日々苦しい暮らしをしているある日、友人で大学生のミニョクから富豪一家の女子高生ダヘの家庭教師を引き継がないかという話を受ける。貧しい暮らしから抜け出したいギウは、その話を受ける。大学の入学書などを偽造し、優秀な大学生のケビン先生として富豪のパク氏の家に潜り込む。 徐々にパク夫人の信頼を得ることで、ギジョンを「ジェシカ」という名前でパク家の一人息子ダソンの家庭教師として紹介し、ギジョンはパク家の運転手を罠にかけ首させ、父ギテクを「キム」として紹介する。 ギテクはとギジョン、ギウの3人は協力してパク家の住み込み家政婦ムングァンを結核患者であるように演出し、パク家から追い出し、その代わりの人物として母ギテクを紹介する。 こうして、ギウの一家はパク家に他人同士として潜り込むことに成功する。

パク家の資産に寄生することに成功した一家は、ある日、ダソンの誕生日に家族旅行に出かけたパク家のリビングで、 計画の成功を祝って宴会をしていた。 突然の大雨に濡れる手入れされた広い庭を、一面のガラスから眺める一家。 雨に濡れることもなく、高い酒と高いつまみを味わえる環境に幸せをかみしめる。 と、そこに突然、誰も訪ねてこないはずのパク家にインターフォンが響き渡る。 玄関カメラの先には、追い出したはずの元家政婦ムングァンの姿が映っていた・・・ ムングァンが言う、「パク家に忘れたもの」とはなんなのか? パク家の高級一軒家に隠された秘密とは何なのか? 雨の降りしきる夜、ギウたち4人に起こる事件はどうなるのか?

格差の対比がエグい

パラサイトでは主人公ギウの家族であるキム一家と成功者であるパク一家が対比して書かれる。 キム一家は坂の下の汚い路地裏の半地下の家に、パク一家は坂の上の閑静な住宅街の高級住宅に暮らしている。

きれいに整えられた家に住むパク家にたいして、キム家はごちゃごちゃしてきたない。 パク家が乱雑に何も気にせずに買い物できるのに対してキム家は贅沢はできない。 そしてクライマックスの大雨のシーンでは大雨の中でテントで寝る一人息子を眺めながら優雅な暮らしを続けるパク家に対して、半地下の家は大雨で完全に浸水する。 そして、避難所で一夜をすごした家族のもとに、パク家から「息子ダソン君のサプライズ誕生日パーティー」への招待の電話がかかってくる。

また、要所要所でパク一家はキム一家のメンバーに対して「匂いがする」という感想を漏らし、キム家の父親ギテクは次第に自分の匂いを気にするようになる。

クライマックスのあるシーンで、パク家の父親ドンイクが匂いに鼻を曲げるシーンがある。 ギテクはその光景を目の当たりにし、ある重大な決心をすることになる。

下流同士の醜い争いと、まったくそんなことに気づかない上流家族

この映画には、実のところもうひと家族、半地下ではなく地下に暮らす家族が登場する。 映画の第二幕はこの家族とキム一家の争いが、メインとなるわけだが争いのさなか、上流家庭である パク一家は全く争いに気づくことはない。 それどころか、パク一家は2家族の訴えにも、ごまかしにも、たくらみにも、何一つ気づかない。 映画を通して、パク一家は最初から最後まで何にも気づくことなく物語が終わる。 それこそ、最後の瞬間まで何があったのかにもなぜそうなったのかにも気づくことはない。

パク一家の視点でこの映画を見ると、「なんの前触れもなく突然訪れた不幸な出来事」でしかない。

一方の下流の家族同士は無駄な争いをひたすらに繰り広げる お互いに協力すれば全く不要な争いを、限られたパイを得るためだけに続ける。

あまりの視点の違いに、終盤、主人公のギウはパク家の少女ダヘに「僕はこの光景に合ってるのか?」と 問いかけるシーンがある。 これに対し、上流階級であるダヘはその質問が出た背景にも、意味にも何も気づくことはない。

救いはあるんですか?

この物語を通して、ギウは得たものより失ったもののほうが確かに多い。 ただ、最後のシーンは主人公に希望を与えるための味付けだろう。

物語のスタート時、主人公には未来がなかった。

しかし、最後の5分、ギウは野望に目覚めるを得ないきっかけを得た。

気の長くなるような計画かもしれないし、望みの薄い計画かもしれない。 それでも、観客として、成功を思わず祈らざるを得ない。

下流から上流へのしあがるためにはそれくらいの決意が必要なのかもしれない。

だから、思う。この映画に希望はあるのだろう。

なんとなく分析(普通にネタバレ)

スナイダーのビートシートを作ってみよう。 多分、こんな感じ?

オープニングイメージ:ピザ箱組み立てながら殺虫剤巻かれるあたり テーマの提示:覚えてないけど、多分、ピザ屋との会話になんかあったんじゃないか? セットアップ:wifi 探すシーン? きっかけ:ミニョクからの家庭教師の誘い 悩みのとき:初めてのパク家訪問と、上流家庭への戸惑い 第一ターニングポイント:ダソンの絵をほめ、ギジョンを絵の家庭教師として紹介すると決めたシーン サブプロット:・・・あったか? お楽しみ:どんどんパク家に入り込むキム家。この一連のシーンでは成功しかしない。 ミッドポイント:雨の中訪れるムングァン 迫りくる悪い奴ら:パク家から脱出 すべてを失って:キム家水没~避難のシーン 心の暗闇:すべてを失って俯瞰するパク家のパーティー 第二ターニングポイント:あの事件 フィナーレ:事件後の整理 ファイナルイメージ:父からの手紙

記憶があいまいだが、主人公と父親との会話がメインストーリーな気もする。 メインプロットが格差問題で、サブプロットが親子関係か? ただ、最初から親子関係はそんなに悪くはかかれなかった気もするが・・・